

ファシリテーション小話: スライダー (ファシグラ)
こんにちは、ソリューション開発部の柴崎です。
みなさんは、会話の際に意図とずれて伝わってしまい戸惑った経験はありませんか。同じ表現でも人によって捉え方が異なることがあります。解決のツールとして、言葉の強さを可視化できるとお互いの意図を近づけることができるのではないかと思います。今回は、強弱を可視化するのに便利なスライダーを紹介します。
あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ
意図せずに一部の単語が重く捉えられる、深い意味はないのに抑揚のせいで怒っているように聞こえる。このような会話が意図とずれて思いの強さがお互い異なっていることがあります。例えば以下のようなことがありました。
母語バックグラウンド
テストコード実装の方針を会話している時に、方針が合わないことがありました。どうも怒っているように聞こえます。相手に合わせた妥協案をお互い出しますが、なかなか確定しません。まだ怒っているように聞こえます。一体なぜ……
ネタばらしすると、言葉の周波数が関係しています。人間誰しも怒るとき声が高くなるそうです。日本語に使われる周波数の範囲は低いそうで、より周波数の範囲が広い言語を母語にもつ人の抑揚が怒っているように聞こえた訳です。どうもおかしいと思い、その方針はどれくらいの思い入れなのか聞いてみると、そこまで強い思い入れはないことが分かりました。
「諦める」の言葉の強さ
みなさんは、「諦める」をどのくらいの強さの言葉として受け取るでしょうか。「諦める」を辞書で引くと以下のような意味です。
[動マ下一][文]あきら・む[マ下二]もう希望や見込みがないと思ってやめる。断念する。「助からぬものと―・めている」「どしゃ降りで、外出を―・めた」
デジタル大辞泉 (小学館)
[用法]あきらめる・[用法]おもいきる――「進学をあきらめる(思い切る)」「あの人のことはなかなかあきらめられない(思い切れない)」のような場合は、相通じて用いられる。◇「あきらめる」は「優勝はあきらめる」「あきらめてすごすご帰る」のように、望んでもかなわないことがわかって、望むのをやめる意。これらの場合、「思い切る」は用いない。◇「思い切る」は、「思い切って発言する」「思い切ったデザイン」のように、積極的に行う、覚悟して行うの意がある。また、名詞形「思い切り」の形で「四十代半ばで会社をやめるとは思い切りがいい」のようにも用いる。これらの場合に「あきらめる」は用いない。◇類似の語に「断念する」がある。「法案の提出を断念する」のように、周囲の状況が悪くなったりして実行に移すのをやめる意で用いる。
筆者は、そんな「諦める」をただ単なる保留する意で使ってしまったことがありました。思っていたよりも強い反応が返ってきて戸惑ってしまいました。(その場で強弱を整理できればよかったのですが、うまくできず後日のふりかえりをネタに未練たらしくこの記事を書いているのです)
気持ちを可視化しよう
以下は「諦める」の言葉の強さを可視化する例です。横線をネガティブ・ポジティブ軸としています。人によって感じる言葉の強さが異なっていることが可視化されました。


この図には表現されていませんが、ネガティブの浅い方といった感じ方をする方もいました。思った以上に感情の範囲が広い言葉だったようです (言い訳)
可視化するためには、問題に気づかなければなりません。発言側は、聞き手が疑わしい顔になっていないかよく観察してください。聞き手側は、「諦め」たり、感情を抱え込まないようにしてください。ずれを感じたら、会話を止める勇気を出してください。それができれば、後はホワイトボードや紙に横線を一本引いて、各々に強弱を表現してもらうだけです。
まとめ
感情を扱う場合は特に、「人対人」で問題について会話すると心理的にやりづらく感じます。ホワイトボードなどを使って「人対問題」としチームの問題として感情に立ち向かえればと思います。ツールの一つとして、スライダーを使ってみてはいかがでしょうか。