

【図説あり】Zabbixアプライアンスのユースケースと設置例(Zabbixサーバー版)
こんにちは。事業開発部の飯出(いいで)です。
Zabbixに関するお問い合わせやご提案の場でお客様と会話していると、「Zabbixは知っているが、アプライアンスの存在を知らなかった。」という声をよく聞きます。
今回は、Zabbixサーバー版ハードウェア・アプライアンスのユースケースや設置例をご紹介します。その前に、Zabbixサーバー版ハードウェア・アプライアンスの諸元や特徴を知りたいという方は、以下の記事でまとめていますのでご確認ください。
Zabbixプロキシ版ハードウェア・アプライアンスのユースケースや設置例は、こちらの記事でご紹介しています。
パトライトを用いたアプライアンスの監視
アプライアンスが故障してしまった場合。すなわち、監視システムが止まってしまった場合ですが、この事象に気づくためには、監視システムを別の監視システムで監視しないといけません。監視システムをもう一式準備するとなると、それなりのコストが掛かります。
そこで登場するのがパトライトです。点灯とブザー音(ミュートも可)でアプライアンスの故障をお知らせできます。パトライトが持つ死活監視機能(ICMP Ping)を利用して、疎通NGの際にパトライトを点灯させることで、アプライアンスの故障に気付けるという仕組みを作ります。


当社では、パトライト社製のNHB4をご提案しています。
また、アプライアンスにはパトライトと接続するスクリプト(Webhook)が準備されています。こちらを使用してZabbixで検知した障害をメール発報と同時にパトライト点灯。という形でお知らせできます。
以前はrshコマンドを用いてパトライトにアクセスする方式でしたが、セキュリティ上の理由からrshコマンドの使用を非推奨としている環境も多いため、Webhook(HTTP/HTTPS)を用いた方式をお勧めしています。
Zabbixサーバーの冗長化
アプライアンスの故障に備えるという意味では、アプライアンスを2台準備して冗長化しておく形が理想です。Zabbixサーバー版ハードウェア・アプライアンスでは、Active-Active方式の冗長化をサポートしています。
Active-Active方式の冗長化とは
アプライアンスを2台準備して、各々のアプライアンスから1つの監視対象を監視します。別々のアプライアンスから監視するため、監視データの大きな欠測は絶対に発生しません。ただし、ネットワークトラフィックが2倍になる点には注意が必要です。
2台のアプライアンスに対して監視設定を入れなければいけないのでは?と思われた方もいらっしゃると思いますが、アプライアンスには監視設定の部分のみ同期するスクリプトが準備されています。こちらを使用して1日1回監視設定を同期することで、アプライアンス2台分の監視設定を登録しなければならないという手間が省けます。
制約として、多重発報を防ぐために従系(2号機)の通知設定を無効にする必要がでてきます。簡単に設定できますが、片系のみの運転となった際に通知設定を有効にするための作業(手動)が必要です。また、監視設定の同期中は従系(2号機)の監視が止まります。監視が止まる時間はおおむね5分以内ですので、ご留意いただければと思います。
その他、SNMPトラップやZabbixトラッパー(zabbix_senderコマンド)を使用している環境では、2台のアプライアンスに対して同時に送信する方式をご検討ください。


理想を言えば、パトライトと一緒に構築いただき片系のダウンを検知する形が良いと思います。
Active-Standby方式の冗長化はサポートしていない
Zabbix 6.0で実装されたActive-Standby方式の冗長化ですが、アプライアンスではサポートしていません。こちらの機能を使用したい場合は、パッケージ版のZabbixを導入いただきます。
なお、Zabbixの冗長化機能では他のプロセスやサービスをクラスターとして登録できないため、Zabbixが使用するデータベースなどは別途クラスターウェアで冗長化する必要が出てきます。クラウド環境などでマネージド・データベースを採用できる場合に、力を発揮するものとお考えください。
予備機を購入して備える(Cold-Standby)
予備機を購入し、通常は電源オフの停止状態で待機させておく方式もあります。
運用コストは低いですが、障害の発生時に起動・設定・データのリストアの時間がかかり、ダウンタイムが長くなるのが特徴ですが、ある程度の停止が許容できるのであれば、コストと復旧速度のバランスを考えた上で導入を検討しても良いと思います。
仮想マシン基盤の外観監視
みなさんの環境でも、仮想マシン基盤やクラウド基盤を用いてシステムを構築していると思われます。そして、その中に監視システムを構築しているのではないでしょうか。
基本的には信頼性の高さが売りである仮想マシン基盤やクラウド基盤ですが、100%故障しないとは言えません。例えば、1年に1度は騒ぎになるクラウド環境の大規模障害。突然システムが応答しなくなり、お客様にサービス影響が生じ大きな被害が出ます。オンプレミス上の仮想マシン基盤であれ、クラウド基盤であれ、基盤障害が発生すると大きなダメージを受けます。その中に監視システムがある場合は、障害の通知が届きません。
このような事態に備え、大規模システムの外側からシステム監視を仕掛けることで、基盤障害の影響を受けずに通知を出すことができます。


例えば、クラウド基盤が提供しているWebサービスに対して、Web監視を実施することでお客様向けサービスが継続的に利用できていることを確認する。システムの内側から監視するのではなく、外側から監視することでシステムの信頼性が向上する。アプライアンスはこのようなシナリオに対して、とてもコストパフォーマンスの良い監視環境を手にいれる手段です。
仮想マシン基盤向けの監視テンプレートが存在
VMwareやNutanix、Proxmoxを仮想マシン基盤に採用している場合は、Zabbixが監視テンプレートを準備していますので、ぜひご活用ください。この監視テンプレートがとても優秀で、仮想マシン基盤上に配備された仮想マシンの1台1台を自動認識(LLD:ロー・レベル・ディスカバリ)しますので、仮想マシン基盤の監視と仮想マシンの監視が同時にできる。といったメリットがあります。
- VMware monitoring and integration with Zabbix
- Nutanix monitoring and integration with Zabbix
- Proxmox monitoring and integration with Zabbix
もちろんクラウド基盤向けの監視テンプレートもZabbixが準備していますので、あわせてご確認ください。
- AWS monitoring and integration with Zabbix
- Microsoft Azure monitoring and integration with Zabbix
- Google Cloud monitoring and integration with Zabbix
使用しているクラウドサービスが監視テンプレートでサポートされていない。とお悩みの場合は当社にお声掛けいただければ、監視スクリプトや監視テンプレートの作成も承ります。ぜひお問い合わせください。
UPS(無停電電源装置)との連動
突然の停電や瞬停、電圧変動などの電源トラブルからアプライアンスを守るためには、UPSの導入をご検討いただきます。UPSはバックアップ電源を供給することで機器の安全かつ正常なシャットダウンを実施する目的で導入されますが、落雷による過電圧(サージ)やノイズからも機器を守り、寿命を延ばす効果もあります。
なお、アプライアンスには停止信号を受信してシャットダウン操作をおこなうといった機能はございません。UPSからアプライアンスに対してsshによるログインを実施し、コマンドを実行するような機能があれば、sshでのログイン後にシャットダウンコマンドを実行する形でアプライアンスを停止できます。このため、ネットワークカードを付与できるUPSが必要です。


Zabbix Japan LLCでは、OMRON社製のUPSにてアプライアンスをシャットダウンできることを検証済みです。OMRON社製UPSの動作検証結果につきましては、以下に記載がございます。
UPSの選定に必要なアプライアンスの諸元
アプライアンス専用にUPSを準備する。サーバーラック内でUPSを共用するなど、設置する環境によって構築する方法はさまざまですが、アプライアンス1台あたりの諸元をまとめましたので、参考にしてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電圧(V) | 100V |
| 電流(A) | 1.7A |
| 消費電力(VA) | 170VA |
| 力率(W / VA) | 80% |
| 有効電力(W) | 136W |
| 内蔵AC電源用電源ケーブル | AC100V用1本(IEC C13) |
Zabbixテンプレートのサポート状況
UPSにネットワークカードを付与する必要がありますので、SNMPにてUPSの状態監視を実施することも視野に入れる形も一緒にご検討ください。OMRON社製や、Schneider Electric(APC)社製のUPSが候補になります。
- OMRON社製 – SNMPマネージャ動作検証 Zabbix
- Schneider Electric(APC)社製 – APC UPS by SNMP monitoring and integration with Zabbix
USBポートの利用
アプライアンスには、USB 2.0と3.0(Type-A)ポートが準備されています。このポートに外付けSSDやHDD(ext2/3/4、FAT形式でのフォーマットが必要)を接続し、バックアップファイルなどの保存先や、ファイルやデータの転送手段として利用できます。(接続する機器の仕様に左右されるため動作保証は致しかねますが、接続実績はございます。)
ただし、接続時におけるデータ転送速度が遅く、適切なパフォーマンスや安定性を検証できないため、Zabbixが収集・保存する監視データの直接的な保存は推奨していません。また、接続した機器を動作させるドライバなどのインストールができないため、すべてのUSB機器が接続できるわけではない。とご理解ください。
VGAポートの利用
アプライアンスにはVGAポートが準備されていますが、このポートから出力される映像はコマンド入力用のコンソール画面(黒い画面)のみとなっています。VGAモニターは接続できますが、監視している値やグラフなどの映像は出力できない点にご注意ください。
Zabbixが監視している値やグラフなどは、別途ネットワークに接続されたPCから、Google ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザーを経由して閲覧いただきます。(パッケージ版のZabbixと同じ使い方です。)
アプライアンスを選択する事例と理由
では、どのようなお客様がZabbixのアプライアンスを選択しているのでしょうか。当社の構築事例や販売実績などから、アプライアンスを選択いただいた理由をピックアップしてみます。
主にネットワーク機器の監視である
数100台の監視対象があるが、おおむねネットワーク機器の死活監視と状態監視で構成されている。監視方式としてはPingとSNMPのポーリングのみ。SNMPトラップやサーバーのログ監視など、データ量の読めない監視方式は使用していない。
- 無線LANアクセスポイントの死活監視。(Ping)
- インテリジェントスイッチのポート死活監視。(SNMP・標準MIBの範囲内での実施)
- サーバーの監視も実施しているが、プロセスやログ監視は不要。(PingやCPU、メモリのリソース監視のみ)
このような環境をお持ちのお客様では、当社の構築パッケージである「アプライアンス構築ソリューション」をご提案しています。
なお、エージェントレス(LinuxやWindowsサーバーのリソース監視を実施しない)環境において、アプライアンスは最良のコストパフォーマンスを発揮します。
パッケージ版Zabbixからの乗り換え
仮想マシン基盤(VMwareなど)上で動作する仮想マシンでZabbixを稼働させているが、サーバーの保守サポート期限を迎えるため移行作業が必要。移行作業に合わせて、Zabbixも最新バージョンにしたい。
最新版Zabbixの動作要件にあわせるためには、OSやZabbix関連ミドルウェアを再度インストールする必要があるため、結構な工数 = コストが掛かる。Zabbixのアプライアンスであれば、OS + Zabbix + Zabbix関連ソフトウェアがインストール済みの状態で納品されるため、作業コストの削減ができる。
- 現在設定している監視設定を無理に残さず、コストを優先してリプレース。(監視設定の棚卸にもつながる)
- ログ監視、プロセスやWindowsサービスの死活監視は継続したい。
- 1000台を超える監視対象があるが、アプライアンスを2台(2系統)導入して構築コストを削減。
- 画面(ブラウザーのタブ)を2つ開く必要はあるが、大きな手間ではないため構築コスト削減を優先。
このような環境をお持ちのお客様では、アプライアンスの単体販売 + 当社の構築パッケージである「まるごとおまかせZabbix 環境構築サービス」を組み合わせ、ログ監視、プロセスやWindowsサービスの監視設定を含める形でご提案しています。
製品乗換時の候補として
さまざまな理由で現在使用している製品の乗り換え候補として、Zabbixを考えている。以下のような理由で製品の乗換を検討している。
- 現在使用している製品のサポート期間が切れる。
- ライセンスの更新時期を迎えるが、価格改定によって使用料が高くなった。
- ネットワーク機器ベンダーが提供している製品を使用しているが、統合監視製品を導入したい。
製品の乗り換えをする場合、監視環境は再構築が必要でそれなりの構築コストが想定されます。この場合において、OS + Zabbix + Zabbix関連ソフトウェアがインストール済みであるアプライアンスを選択されるケースが多くあります。
オープンソースとして公開されているZabbixですのでソフトウェア本体は無料で使用できますが、ハードウェアやOSの購入、保守サポートの購入費用まで合算すると、結構な金額になってきます。また、ハードウェア、OS、Zabbixそれぞれのお問い合わせ先が別々になりますので、運用開始後に問題が発生した場合において切り分け作業も大変になります。
Zabbixのアプライアンスを選択いただいた場合、 OS + Zabbix + Zabbix関連ソフトウェアが ファームウェアとして提供されますので、お問い合わせ先も一本化できるといったメリットがあります。
インフラ監視に特化すれば最高のコストパフォーマンスを発揮
インフラ監視に特化する場合において高額な商用ツールは不要です。高額な商用ツールが持つさまざまな機能も魅力的ですが、それらの機能を使用してシステム運用を改善できるかといった観点も必要です。監視製品の選定をする場合には、このような観点も入れていくと良いと思います。
おわりに
パッケージ版でもコストパフォーマンスを発揮するZabbixですが、アプライアンス版の導入によって更にコストパフォーマンスを発揮します。以下のようなお悩みを持っている場合、アプライアンス版も検討してみてはいかがでしょうか。
- システム監視を始めたいが何から手をつけたら良いかわからない。
- 既にZabbixを使用しているが、環境の維持に苦労している。担当者が離任してよくわからなくなっている。
- 現在使用しているZabbixのバージョンが古く、最新バージョンに乗り換えたい。
- インフラ監視が主な用途となるため、商用ツールを用いた高度なシステム監視は不要。
Zabbixのアプライアンスに興味を持たれた場合は、ぜひ以下の青いボタン「Zabbixのプロフェッショナルに相談」からお問い合わせください。当社のメンバーが、Zabbixのアプライアンスについて詳しくご説明します。
また、Interop Tokyo や Zabbix Conference Japan などのイベント会場で実機の展示もしていますので、来場される場合はアークシステムのブースまでお越しください。実機に触れながら、詳しくご説明します。
続いて、Zabbixプロキシ版アプライアンスのユースケースと設置例をご紹介します。
Zabbixの導入・構築でお困りですか?
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アークシステムが選ばれる理由
- 豊富な経験: 多くのZabbix導入・構築プロジェクトを成功に導いた実績
- 確かな技術力: Zabbix認定資格を持つエンジニアが対応
- 独自のソリューション: 「監視定義テンプレート」を活用した迅速かつ高品質な実装
- 最新情報へのアクセス: Zabbix社との強力なパートナーシップを活かした最新技術対応
こんな方に最適です
- Zabbixの新規導入を検討している
- 現行システムの運用に課題を感じている
- 大規模環境での監視体制を整えたい
アークシステムでは、Zabbixの導入・運用に関する課題を解決し、最適な環境を構築します。どんなご相談でもお気軽にお問い合わせください!























