20代が考える!メインフレームエンジニアのリアルな本音

2020年6月9日z/OS

はじめまして。入社4年目システム基盤サービス部の宮本です。

私は、新卒でアークシステムとして入社し、入社以降ずっとIBM社のメインフレームを扱う仕事を経験してきました。

「若手なのにメインフレーム??」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。メインフレーム業界ではエンジニア不足や高齢化という問題をよく耳にしますが、当社のシステム基盤サービス部も若手不足で、30代の方でも部員はごくわずかです。去年までは私が最年少でした。

そんな若手が少ない部門でしたが、去年の7月に初めて直属の後輩ができました!

その後輩もメインフレームを扱う仕事をしてもうすぐ1年がたち、仕事の理解が少し深まってきたところで、仕事についていろいろと話をする機会を設けてみました。不安なこと、面白いと思ったこと、これからやってみたいこと、愚痴、生意気に先輩面したアドバイスなどなど、話し始めるととても盛り上がりました。

今回はその会話中に出た内容の一部を、記事にしています。

私たちがメインフレームを語るには、技術・知識ともにまだまだ足りていないと思います。しかし、若手メインフレームエンジニアがどのような考えを持っているのか、少しでも知っていただければと思います。

われわれと同じような若手メインフレームエンジニアの方はこの記事の内容に共感していただければ、また、若手メインフレームエンジニアと一緒に働いている方は、若手の思っていることを感じていただければ幸いです。

1年間を振り返ってみて

今回対談を行ったのは、2年目の武江と4年目の私(宮本)です。

武江は、1年目の4月から6月まで新人合同研修、その後1カ月間システム基盤サービス内の研修を受けて、現場に配属(OJT)となりました。

私は、武江と同様の研修を経て、OSバージョンアッププロジェクトを中心にメインフレームに関する業務のみを経験してきました。

それでは、対談の方に行ってみましょう。

ーーはじめに、自己紹介

宮本:じゃ、とりあえず自己紹介しよっか。

武江:はい。入社2年目のシステム基盤サービス部所属の武江です。学生時代は生物学を専攻していて、IT未経験で入社しました。よろしくお願いします。

宮本:じゃ、僕も一応自己紹介ということで。入社4年目の宮本です。学生時代はバイオサイエンスを専攻していて、武江と同じくIT未経験で入社しました。ちなみに、話してて分かると思うけど、関西出身でアークシステム入社と同時に上京してきました。

武江:すごく関西弁ですもんね。

宮本:そうそう。ここだけは変えられへんと思う(笑)
今日はゆるっと話を聞いたりしていこうと思ってるから、気軽に話していこう!

武江:はい!よろしくお願いします!

宮本:じゃあ、はじめにこの1年間振り返ってみよっか。

ーーメインフレームを扱う部門に配属されてどう思った?

武江:正直、「これからメインフレームをやるんだー」くらいにしか思わなかったですね(笑)
メインフレームは絶対嫌!ということはなかったですし、そもそもIT未経験で入社しているので何を扱うにしても初めてですし。

宮本:やっぱりそうやんな。僕も配属されたときはそういう思いやったし、どこに配属になっても「まずは頑張るだけ」っていう発想しかなかった気がする。でも、若手が少ない部門に配属ってちょっと不安もあったかな(笑)

武江:あ、私もそれはわかります!他の部門に比べて若手が少ないので、ちょっと不安でした。ただ今となっては、数多くの経験を積まれた方々に手厚くフォローしていただいているので、安心感はものすごくありますね。

宮本:間違いないな。

ーーこの1年、メインフレームの仕事をしてきた感想

宮本:これまでどんな仕事してきた?

武江:部門内部での研修が終わった後、OJTでOSの基本機能テストをやりました。あとはDB2のマイグレーションを先輩がやっていたのを隣で見ていました。

宮本:僕もOJTでOSの基本機能テストは一番最初にした!あと先輩の作業を隣で見てることも多かったなー。正直何をやってるかピンとこなかったけど。

武江:そうですねー。あとで先輩に説明してもらったのですが、「今後私ひとりでこういう作業できるのかな?」とか思っちゃいました。

宮本:わかるわー。それから今はどんな仕事してるん?

武江: 今はお客様先でOSのバージョンアップを担当しています。主に構築作業をしていて、各環境に合わせたJCLの作成やパラメーター修正を実施しています。

宮本:実際にOSのバージョンアップを経験してみて率直な感想は?

武江:とりあえず、難しいですね。メインフレーム領域の仕事をしていなくても難しいと思っているはずですけど、メインフレームの技術は、わからないことを調べても求めている答えが簡単に見つからないのが困りますね。

宮本:ま、そうやんな。オープン系と比べてWeb上に転がっている情報が圧倒的に少ないから、マニュアルとにらめっこしてる日々になるよな。ちなみにTSOとかISPFの操作についてはそろそろ慣れてきた?

武江:そこはだいぶ慣れてきました!Enterと言われれば右下のCtrlキーを押す癖が染みつきました!

宮本:それはよかった!

ーー他の同期は、メインフレーム以外の仕事をしているが、それに関して思うことはある?

武江:うーん。同期がどんな仕事をやってるのか詳細までは分からないですけど、気にならないと言えば嘘になりますかね。どんなことをやっているのか、興味はあります。「メインフレームはなくなる」っていう言葉をよく耳にしますし、オープン系の技術についても知っておかなければいけないのかなーとか思いますし。

宮本:確かに気になるよな。メインフレームの将来については、またあとで話そうと思ってるけど、オープン系の知識は知っておいて損はないと思うかな。あとさ、自分の仕事を若手の中で共有しづらいって結構つらくない?

武江:わかります!

宮本:そうやんな!ISPFとかJCLとか「何のこと?」っていう顔されるのがちょっと寂しいよな。「Excelで資料作成したり、メールの文章を打ってるときにEnterキーじゃなくて右下のCtrlキーを押してしまうことがある」みたいなあるあるネタも全く共感してもらえんし。

武江:あれはメインフレームエンジニアの職業病みたいなところがありますよね(笑)

若手メインフレームエンジニアのフォロー

私も武江と同じように1年目にz/OSバージョンアップのプロジェクトを経験しましたが、初めは何をやっているか理解するのに苦しみました。Webで調べても有用な情報が得られず、マニュアルとにらめっこする日々を送っていたこともありました。そのような状況だったので、先輩方のフォローはとても助かりました。

繰り返しですが、メインフレームに関する情報量はオープン系と比べて圧倒的に少ないと思います。独学でなんとかできる範囲が限られているため、先輩方は若手に対するフォローを十分なほど手厚く行うこと(甘やかすという意味ではなく)、若手はフォローやアドバイスを積極的にもらいに行くことが重要になってくるのではないでしょうか。

メインフレーム以外を扱う同期についての話ですが、私も新人の頃は、同期と仕事の話をすることが多々ありました。「隣の芝生は青く見える」という言葉があるように、他の人がやっている仕事って面白そうに見えるんですよね。

他の領域が面白いと思うことはとても重要だと思います。逆に考えれば、他の領域を扱う方にはメインフレームが面白いと思ってもらえるかもしれないということです。自分の扱う技術に対して、面白いと感じてもらえる話ができるよう、いろいろと知識を蓄えていくのもいいかもしれません。

とはいっても、メインフレームの今後に関しては、あまりいい話を聞きません。ということで、次にメインフレームエンジニアとして今後キャリアを積んでいく過程での悩みや不安について話し合ってみました。

若手メインフレームエンジニアとしての不安

宮本:じゃあさっきチラッと話に出たメインフレームの今後についてちょっと深堀りしていきたいねんけど、とりあえず分かる範囲で率直に思ったことを聞かせてほしい。

武江:わかりました。

ーー「メインフレームがなくなる」と言われているが、そこへの不安などはあるか?

武江:かなりあります。現にメインフレームは減少傾向にあるということをお聞きしたので、技術を身に付けるチャンスが少なくなってくるのかな、という不安もあります。

宮本:確かに、減ってきているやろうね。「○○年に廃止するので最後のバージョンアップです!」というプロジェクトも耳にするし。

武江:逆に宮本さんはどうですか?

宮本:ま、不安やね。せっかく技術を身に付けたのに、将来発揮する場がなくなるということなら、「別に深掘りしてまで勉強しなくてええやん」とか思ったことも正直あったし。

武江:そう思った時に何か考えを変えるきっかけってありました?

宮本:よくやってたのはWebに載ってるメインフレームに関する記事を見てたなー。「メインフレームは将来なくなる」とか、「メインフレームがなくならない理由」とかで検索して、自分がメインフレームをやっていくためのモチベーションを探してたかな。

武江:そういう記事って確かに面白いかもしれないですね!ちょっと見てみます!

宮本:メインフレームの記事って一見ネガティブな記事のように見えるけど、深読みしたらエンジニアにとってプラスになる話もあるから、面白いと思うよ!記事によってはメインフレームのことを恨み倒すような記事もあるけどね(笑)

ーーメインフレームの技術力はどのように学んだらいいのか?

武江:私からの質問なんですけど、どうですかね?

宮本:まだまだ技術力ってほど力持ってない僕に聞かれても。ってとこが正直な思いやけど・・・。やっぱり豊富な知識量を持っている先輩方からいろいろ吸収するっていうのが一番じゃないかな。

武江:やっぱりそうですよね。

宮本:うん。僕はメインフレーム領域に関わらず、どの仕事をしていても経験って一番大きいと思ってて、その豊富な経験のあるベテランの方々と一緒に作業できる環境が成長につながるんじゃないかなーって思ってる。

武江:特にうちの部門は昔からメインフレームを触ってきた方ばかりだから、かなり恵まれた環境ですよね。

宮本:間違いないと思う。もちろんメインフレームでも新機能が実装されたりしているので、変わっているところは多々あると思うけど、基礎の部分は変わっていないから参考にするところはあると思う。

武江:でも、そのベテランの方々がいらっしゃるうちに技術を自分のものにできるかどうか・・・

宮本:確かにな。だから最近は自分で調べきる力っていうのも意識してる。調べきるっていうのはマニュアルベースだけではなくテストも込みでね。間違ってても今なら答え合わせができるチャンスもあるしね。

武江:なるほど。自分で調べた方が身につきやすいですしね!

ーー自分が担当しているプロジェクト以外の話はどのくらい理解しているのか?

武江:もう一つ聞きたい話があります!定期的に部門内で集まって、担当プロジェクトの共有の場があるじゃないですか。あの話ってどれくらい理解していますか?

宮本:正直なところわからないこともあるかな。知らない言葉が出てきたりとか。今までOS周りの仕事を中心に進めてきて、ミドルウェア周りの深掘りした話は知識があまりないから「ふーん」くらいで終わっちゃうかな。本当は自分なりにあとから調べたりした方がいいけど。

武江:1年目と今とでは理解の度合いは変わってきましたか?

宮本:それは間違いなく変わってきてる!というのも、自分が仕事をしてきた中で知っている言葉が増えてきたっていうだけだと思う。だからそんなに不安にならなくてもいいかな。

メインフレームエンジニア特有の不安を払しょく

メインフレームエンジニアが年々減少していることだったり、「メインフレームはなくなる」と言われていることで、若手(特に新人)は不安を抱いてしまうと思います。

私自身、メインフレームを学ぶ意味を見いだすために、Web上にある記事を見たり先輩方からいろいろな話をお聞きしたりしました。その結果、自分がどのようなエンジニアになっていきたいかという将来像もなんとなく見えてきたりしています。

メインフレームが利用されているシステムの重要性を理解してもらった上で、その技術を身に付けることは決して無駄なことではないということを周りの方からのフォローしていただくと、若手エンジニアはモチベーションを維持しながら技術を身に付けるための努力ができるのではないでしょうか。

ここまでは振り返りや悩みについて話し合ってみましたが、次はメインフレームエンジニアとしての将来像や、メインフレームの今後についてなどなど、これからについて話し合ってみました。

メインフレームエンジニアとしての将来

宮本:じゃ、次は将来について話してみよっか。メインフレームの今後についても。

武江:メインフレームの今後って大袈裟ですけどね。

宮本:確かに若手が語るにはテーマがでかすぎるかもしれんけど、ちょっとやってみよ。

ーーZoweについて

宮本:今「Zowe」についていろいろ調べてるねんけど、Zoweって聞いたことある?

武江:初めて聞きました。

宮本:そうやんな。ま、簡単に言えば「メインフレームオープンソースの2つの世界をまとめる」っていうテーマでできたものらしいよ。今回はZoweについて深掘りはしないけど、とりあえずメインフレーム業界もオープン化に向けた取り組みは始めてるといったくらいに思ってもらえればいいかな。

武江:じゃあ10年後、20年後にもメインフレームが生き残っている可能性は大いにあるってことですね。

宮本:うん。メインフレームの廃止を検討しているユーザーがZoweを使うことによって廃止しなくなるということが起こるかもね。そうなれば、身に付けた知識は10年後、20年後も役に立つし、今の経験がいかせることになりそうやね。

武江:そうなればありがたいですけどねー。ただ、必ずしもZoweが主流になるとも限らないですよね。

宮本:そうやなー。これでメインフレームが生き残るっていう根拠にはなってないからね。ま、どうなるかはメインフレーム業界次第って感じかな。

ーー今後どのようなエンジニアになっていきたいか?

宮本:まだメインフレームを経験して1年も経っていない段階で聞くのは早すぎるかもしれないけど、ざっくりと教えてほしい!

武江: 先輩とお客様とのやり取りを聞いていて気が付いたのですが、メインフレームの知識そのものよりも、メインフレーム上で動いているお客様環境の仕組みについて質問する方が多いなと思ったんです。

宮本:確かにそれが多いやろうね。

武江:なので、メインフレームの知識があるのは前提として、お客様環境をお客様より知っているって思われるようなエンジニアになりたいですね。それがお客様の信頼につながると思うので。

宮本:うまいこときれいにまとめたな。でもやっぱりお客様からの信頼って一番大事だと思うし、その信頼が自分の自信につながるからぜひ頑張ってほしい!

武江:宮本さんはどうですか?

宮本:えー。そんなきれいな回答された後に言うの嫌やけどな・・・。でも武江が言ったことはもちろんのこと、時代に合ったエンジニアになっていきたいと思う。

武江:と、いいますと?

宮本:さっき話したZoweの話じゃないけど、10年後、20年後どうなってるかなんてわからんから、時代がどう転がっても適応できるようなエンジニアになっていきたいなと思うかな。

武江:宮本さんらしくないまじめな回答ですね(笑)

宮本:やかましわ(笑)じゃあ今日はこれくらいにしよ!ありがとうございました。

武江:ありがとうございました。

長期的にメインフレームエンジニアとして活躍するために

今回はメインフレームエンジニアとして、というテーマで話を進めていましたが、「どのようなエンジニアになっていきたいか?」という問いに対しては、メインフレームに関わらず共通するところはあると思います。ですので、メインフレームに携わる人だけでなく、身近な人と話し合うことも大事だと思います。

業界問わず、将来はどうなるか分かりません。もしかしたらメインフレームの重要性や必要性が再び高まる時代がやってくるということがあるかもしれません。

そのような中でメインフレームがオープンソースの世界に対応していっているように、メインフレームエンジニアもオープンソースの世界に対応できる柔軟性が必要になってくると思います。

もちろん人によって、得意分野・不得意分野が生まれるとは思いますが、得意分野だけに特化したエンジニアになるのではなく、不得意分野でも対応できるような技術力と経験を積むことが、これからの時代に必要になってくるのではないかと考えています。

また、武江の言ったように、ユーザーがいないと私たちの技術が活きることはないので、技術力を高めることだけに固執してはいけないということを常に頭の片隅に置いて、お客様により信頼されるエンジニアになることもマストになってきます。

私自身、他にもこれからいろいろなことを経験し、どのようになっていきたいかという将来像を膨らませながら、成長していければと思っています。

私としては、今後のメインフレームの進化にも期待して、あわよくば、キャリアの最後までメインフレームに関わっていければなぁとも思っています。

最後に

いかがでしたでしょうか。メインフレームを扱う若手として思うことをいろいろと話しました。

私たちのような若手メインフレームエンジニアが求めていることは信頼されるシステムエンジニアになるということです。この考えはシステムエンジニアの方々に共通することだと思います。

メインフレームに対してネガティブな意見をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、私たちはメインフレームを扱うことに対して悲観していません。むしろオープン系が主流になった今だからこそ、メインフレームを扱える機会をもらえて、いい経験になっていると思っています。メインフレームのような少し特殊な技術を扱うことに対する免疫がついたという言い方もできると思います。

私たちと同じ年代の若手メインフレームエンジニアの方は、ベテラン・中堅の先輩方からメインフレーム技術をいろいろと教わりながらも、視野を広げてさまざまなことに興味を持っていけばよいのではないでしょうか。

また若手メインフレームエンジニアを部下に持つ方は、若手がメインフレームに対してどのような考えを持っているのか、ざっくばらんに話をしてみると面白いのではないのでしょうか。

今後は、対話中にも触れたZoweについても記事にしていければなと思っております。

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