初心者でもわかる!Zabbixテンプレートの使用方法

Zabbix

初めまして!プラットフォーム技術部の小羽根陸です。
最近 Zabbix を使い始め、少しずつ使用感がわかってきたところです。

本記事はそんな私が便利だと感じた機能である Zabbix のテンプレート機能の使い方について紹介します。

テンプレートとは

Zabbixのテンプレートは、複数のアイテム、トリガー、グラフなどの設定をまとめた監視設定の集まりです。

以下の8つがテンプレートに含められる設定です。

  • アイテム
  • トリガー
  • カスタムグラフ
  • アプリケーション
  • ユーザー定義マクロ
  • ホストスクリーン
  • ローレベルディスカバリ
  • Web監視

テンプレートを用いるメリットは、一度テンプレートを作成すれば、テンプレートとホストをリンクするだけで複数ホストに同一の設定が適用できること。さらにはテンプレートで設定変更が一元管理できる点だと思います。

ホスト1台1台個別に同じ設定をする手間を考えると、とても便利です!

テンプレートに含まれている設定を解除したい場合は、テンプレートとホストのリンクを解除することで設定も解除されます。

テンプレートを使用すれば、ホスト1台1台個別に同じ設定をする手間がなくなるためとても便利です!

また、下図のようにテンプレート同士を1つのテンプレートにまとめてホストにリンクすることもできます。

テンプレート親子関係説明

テンプレートはミドルウェア、アプリケーションなど監視対象ごとに作成することが多いのですが、その場合は監視したいミドルウェア、アプリケーションのテンプレートをそれぞれ複数のホストにリンクさせる手間が発生します。

そのため、複数ホストにリンクさせたいテンプレートを1つの親テンプレートとしておくことで親テンプレートのみをリンクすればよいのでとても便利です。

Zabbix 社提供テンプレート

Zabbix 社提供テンプレートの確認

まずは Zabbix 社が提供しているテンプレート例を確認していきます。

Webブラウザー画面を開いて【設定】から【テンプレート】を押下することでテンプレート一覧が表示されます。

Zabbixのテンプレート一覧画面

Zabbix 社が用途に応じてテンプレート例をいくつか公開しています。

そのまま使えない事もありませんが、推奨されている使い方は目的に近いテンプレートを選択して監視要件に合わせてカスタマイズする方法です。

もちろん新規作成もできますし、他で利用していたテンプレートをインポートもできます。

新規で作成する場合は右上の【テンプレートの作成】を押下してテンプレート名を記載することでテンプレートを作成することが可能です。

Zabbix 4.0 から提供テンプレートの種類が増えた

Zabbix 3.0 の時、Zabbix 社提供のテンプレート数は約40種類でしたが、Zabbix 4.0 になり約80種類と倍に増加しています。実際に見比べてみたところ、主に SNMP の監視テンプレートの数が増加していました。

SNMP を利用したネットワークの監視や OS の監視をしている、または今後監視をしたいため、Zabbix 社にテンプレートの提供要望が多かったのではないかと感じました。

テンプレートの使用方法

テンプレートの作成

テンプレートは1から新規作成することも可能ですが、本記事では Zabbix 社が提供しているテンプレート例を監視要件に合わせてカスタマイズして作成する方法をご紹介します。

実際に Zabbix 社が提供している、Template OS Linux テンプレートをカスタマイズして使用します。

ここで注意点。テンプレート名に関しては他のテンプレートと同一の名前を使用できません。
また、ホスト名と同一の名前も使用できません。

理由として、DB 内でホストとテンプレートは同じテーブルに情報が保存されるためです。
詳しくは以下の記事にまとめてあるので、気になる方は確認してみてください。

では、手順を。

  • Template OS Linux を選択します。
Zabbixのテンプレート選択画面
  • Template OS Linux を選択して【すべて複製】を選択します。
Zabbixテンプレートの複製画面

【すべてを複製】を選択すると元のテンプレートの設定が全て複製され、新規のテンプレートを作成できます。【複製】だと設定したアイテムやトリガーまで複製されないので注意しましょう。

  • 新規のテンプレート名を記載します。
Zabbixテンプレート作成画面

ここでは、「Template OS Linux ARK」という名前で作成しました。

  • 【追加】を選択します。
Zabbixテンプレート作成画面
  • テンプレート一覧に画面が遷移するので、テンプレートが複製されたことを確認します。
Zabbixテンプレートの一覧

「Template OS Linux ARK」が作成されていますね!

テンプレートが追加できていることを確認したら、簡単なカスタマイズしてみたいと思います。
監視不要なアイテム、トリガーを削除します。

  • 「Template OS Linux ARK」を選択します。
Zabbixテンプレートの一覧
  • 削除したいアイテムの□を押下し、☑として【削除】を選択します。
Zabbix複数アイテム選択画面

ホストへのリンク

テンプレートとホストをリンクする方法です。

  • 【設定】から【ホスト】を選択してホスト一覧を表示します。
Zabbixのホスト一覧画面

テスト用に Linux server ホストと Linux server2 ホストを準備しておきました。この2つのホストを使用してテンプレートとリンクさせていきます。

  • Linux server ホストを選択します。
Zabbix ホスト情報編集画面
  • 【テンプレート】タブをクリックして、【選択】を選択します。
Zabbix ホストとテンプレートとのリンク画面
  • 【選択】を押下してリンクするテンプレートを選択し、【追加】を押下してから【更新】で押下することでテンプレートとホストがリンクされます。
Zabbix ホスト設定画面 テンプレート選択画面
Zabbix ホスト設定 テンプレート追加画面
私は【追加】を押下し忘れ、そのまま【更新】を押下してしまいテンプレートとリンクされないことがよくあります・・・。

今回はテンプレートを1つだけリンクしていますが、【選択】から複数選択してリンクすることも可能です。

  • Linux server ホストのテンプレートに Template OS Linux ARK と記載しています。ホストとテンプレートがリンクしている状態です。
Zabbixのホスト一覧画面

Linux server のテンプレート欄に Template OS Linux ARK (Template App Zabbix Agent) と記載されています。
( )内に関しては親テンプレートに対してリンクしている子テンプレートが表示されます。

テンプレートアイテムの見分け方

テンプレートとホストがリンクしたのでアイテム一覧を見ていきましょう。

  • アイテム一覧の【アイテム】を選択します。
Zabbixのホスト一覧画面
  • アイテム一覧を確認してみます。
Zabbixのアイテム一覧画面

アイテム名の前にテンプレート名が記載されているため、どのテンプレートのアイテムか判断ができます。テンプレート名が先に記載されるのはアイテムだけではなく、始めに紹介した8つの設定全てにおいて当てはまります。

画像では Agent ping アイテムは子テンプレートである Template App Zabbix Agent テンプレート、その他は親テンプレートである Template OS Linux ARK のアイテムであることがわかります。

では、Template App Zabbix Agent テンプレートのアイテムが Linux server ホストにリンクされていることが確認できたので、実際に値を取得できているか確認してみましょう。

  • 【監視データ】から【最新データ】を選択します。
Zabbixの最新データ画面

値を取得できていることが確認できました!

ホストとのリンク確認

現状の設定は、テンプレートとホストがリンクしている状態になっています。
この状態でテンプレートに修正または追加があった際はホストの設定も変更されます。

では、実際に確認してみます。

  • 2つのホストを用意してそれぞれにテンプレートをリンクします。
Zabbixのホスト一覧画面

この状態で Template OS Linux ARK テンプレートでアイテムを1つ新規作成しました。
※アイテムの作成方法は割愛します。

  • ホスト画面からアイテム数を確認します。
Zabbixのホスト一覧画面

Template App Zabbix Agent テンプレートがリンクされている2つのホスト、ともにアイテム数が増加しているのが確認できました。

ホスト個別にアイテムを追加してもリンクしているテンプレートに今回追加したアイテムが反映されることはありません

ホストとのリンク解除

テンプレートの設定を変更したい。しかし、特定ホストにだけは変更を反映させたくない場合があると思います。

その場合は、テンプレート設定画面から【リンクを削除】を押下することでテンプレートとホストのリンクを解除しつつテンプレートの設定内容をホスト個別の設定として残せます。

試してみましょう。

  • 【設定】から【ホスト】、【テンプレート】タブを選択します。
  • 【リンクを削除】を選択後に【更新】を選択します。
Zabbixホストのテンプレート設定画面
  • ホスト一覧で確認するとテンプレート欄からテンプレート名が消えていることが確認できます。
Zabbixのホスト一覧画面
  • アイテム一覧からはアイテム名の前にテンプレート名が記載されていないことが確認できます。

これでテンプレートを修正した際もホスト個別の設定が変わることはありません。

Zabbixのアイテム一覧画面
  • テンプレートの設定を全て削除したい場合に関しては、【リンクと保存データを削除】を選択後に【更新】を選択します。
Zabbixホストのテンプレート設定画面
  • ホスト一覧で確認するとテンプレート欄からテンプレート名が消えているのが確認できます。
Zabbixのホスト一覧画面

他にもアイテム数やトリガー数からも数字が消えたことが確認できます。

今まで監視したデータは内部で保持しているのですが、そのデータも削除されるので、【リンクと保存データを削除】を選択する際は気を付けてください。

まとめ

今回はホスト2台で実施しましたが、これが10台20台と増えれば増えるほど便利なことが実感できると思います!

私も Zabbix を使い始めたばかりでしたが、テンプレートを使用することによって、複数ホストに対して簡単に監視設定ができました。

ぜひテンプレート機能を試してみてください!

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