ゼロから始める新人エンジニア研修~「ふりかえり」~

2017年9月4日アジャイル開発,スクラム開発,チームビルディング,採用・教育活動

こんにちは、ソリューション開発部 三宅です。

9月に入り涼しくなってきましたね…就職活動を控えている学生さんの中で、夏休み中にインターンシップに参加されたり、本格的に業界研究、企業研究を始めてる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

近年、エンジニア業界で文系出身者やIT未経験者が年々増加していますが、

  • 「文系でプログラミングの勉強したことないからエンジニアとしてやっていけるか不安…」
  • 「入社後エンジニアの新人研修って、どんなことをやるの?」

と悩む方もいらっしゃると思います。

私も文系出身者だったので、就職活動の時はエンジニアの新人研修内容にとても興味がありました。

プログラミングの技術以外にも、エンジニア・社会人として会社に利益をもたらせるようになるためには様々なスキルが必要です。今回はソリューション開発部で行われている新人研修内容の1つ、「ふりかえり」をご紹介したいと思います。

「ふりかえり」とは?

「ふりかえり」とは、仕事のやり方、問題点を見直し、現状をもっとよくするために行う話し合いのことです。プロジェクトによりますが、チームごとに期間を決めて定期的に行われています。

この話し合いの方法、考え方に慣れるために新入社員も新人研修中に「ふりかえり」を行います。

部の上司と、配属予定のプロジェクトリーダーとメンターの方にご参加頂き、私自身も約半年間「ふりかえり」を行いました。

テーマは配属前は研修のこと、配属後は実際の業務について。「ふりかえり」の頻度は人によって異なりますが、最初は1週間に1度、慣れてきたら2週間に1度、1か月に1度…と期間を伸ばし、全体で半年間から約1年間行います。

新人研修の「ふりかえり」では、KPTを使って行いました。

「ふりかえり」の進め方

KPTとは、KeepProblemTryの頭文字を取った言葉です。

KPTとは、Keep、Problem、Tryの頭文字を取った言葉です。
  1. Keep:よかったこと、これからも続けていきたいこと
  2. Problem:うまくいかなかったこと、問題点
  3. Try:次に試したいこと

具体例

KeepとProblemを洗い出して、そこからTryを考えていきます。プロジェクトの「ふりかえり」をするときに使われる一般的な手法ですが、個人の「ふりかえり」でも使うことができます。

それでは実際に具体例からProblemとTryの出し方をご紹介します。仮に、社会人としてやっていけるかどうか不安を抱いているとします。

漠然とした不安

社会人としてやっていけるかどうか。

これでは漠然としているので、次に具体的に何が不安なのか?考えてみましょう。

何が不安か

挨拶やメール、文書の書き方。

「挨拶」がまだ深堀りできるので、次に挨拶の何が不安なのか?考えてみましょう。

深堀りした不安要素

名刺交換の仕方。

不安が具体的になりました。次に「名刺交換」がどうして不安なのかを考えてみましょう。

どうして不安なのか

実際にやった事がない、慣れていない。

どうすれば不安は解消するか

練習を重ねる!

1人で練習するのか?誰と練習するか?を具体的に考えてみましょう。

具体的な解消方法

社会人になった先輩と名刺交換の練習をする!かなり具体的になりました。これをTryとします。

研修でやってみて

それでは先ほどお話したKPTを使って、実際に新人研修でどんなやり方をしていたかを紹介します。

ホワイトボードをKeep、Problem、Tryに分けます。

Keep

Keepは上手くいったことや、自分が意識して行動したことが良い結果となったと思えたものを挙げていきます。

Keepは上手くいったことや、自分が意識して行動したことが良い結果をもたらせたなと思えたものを挙げていきます。

Problem

次はProblem。上手くできなかったこと、問題だと思ったことなどを挙げていきます。

ここから、なぜ、この問題がでてきたのだろうということを深掘りします。本質的なProblemを出すために、深掘りはとても大切です。

次はProblem。上手くできなかったこと、問題だと思ったことなどを挙げていきます。

私はこのProblemの深掘りに最初はとても時間が掛かってしまいました。

なぜ自分がそう思うのか?他にどういう原因があったのか挙げていくうちに、問題点の切り分けをきちんとできていないのが原因であることが分かりました。

先輩方にProblemの出し方を見てもらうと、

  • 「これとこれは繋がっていないんじゃない?」
  • 「これって…本質的な問題?」
  • 「この問題はもっと具体的に2つに切り分けられるよね?」

と色々アドバイスを頂き、深堀りの練習をしていきました。

プロジェクト配属が決まって、あと2週間で客先に出ることへの漠然とした不安がある。具体的に何に対して不安があるのか?を考えたら2つのキーワードが浮かびました。

  • 社会人としてマナーは大丈夫か?
  • 技術者として、やっていけるか?

技術者としてはなにが不安?Javaの知識が足りてない?

研修でやっている基本構文は覚えるようにする!

これで不安は解消される? 「基本情報技術者試験の問題が8割解けるようなるまで、Javaの基本構文を復習する!」

というTryを出しましたが、先輩と共に深堀りをすると違う原因が出てきました。

Tryを出しましたが、先輩と共に深堀りをすると違う原因が出てきました。

そもそも配属先で何の言語を使うのかも、最初に何をするかも確認、把握していなかったことが判明…

原因が分かり、解決案を出すところまで深掘りができたら、続いてTryを導き出します。

Try

Tryは次にやることを挙げていきます。先ほどのProblemの深堀りから、1つTryを出すことが出来ました。

マネージャーとの面談の際に、最初に入ったら何をするかを確認する。

私がProblemを考えるときはホワイトボードで、文字を丸で囲ったり、矢印を書いて「なぜ?なぜ?」の繋がりを表現していきましたが、マインドマップを使っている方もいたので、自分が一番やりやすい方法を見つけるのが良いと思います。

また自分が書いたKeepの中で、これからも続けていきたいと思うこと、もしくはもっとこうすれば改善できるのではないかという方法を思いつけば、そこも深掘りしてTryに書きます。

ProblemとTryの繋がりを先輩方に見てもらい、次回へのアドバイスをもらって、「ふりかえり」に掛かった時間を記録します。すると何回か重ねていくうちに深掘りにかかる時間が徐々に短くなっていくのが実感できました。

私の場合、入社当初は1時間〜1時間20分程かかっていましたが、半年後は30分程度でTryを出せるようになりました。

「ふりかえり」を行うと、自分はこれが問題だと思っていたけど、実際に深掘りしたら違う問題点が出てきた!など、深掘りをすることで根本的な原因を突き止める、論理的思考力をつけることができると思います。また1人で整理して終わりではなく、先輩方の客観的な視点からアドバイスをもらうことで自分の思考のパターンにも気づくことができました。

深掘りをすることで根本的な原因を突き止める、論理的思考力をつけることができると思います。

業務でやってみて

配属された実際の業務では、付箋を使ってチームで話し合います。まずそれぞれのKeep、Problemに対して話し合いながらTryを出し、そこからTryを実行可能なActionに落とし込むKPTA方式で行っていました。

研修の「ふりかえり」とは違い、業務では個人ではなくチームで行うので、チームの中で思っているけどなかなか直せないという根本的なProblemを出し、そこから改善していけるTryを出さなければいけない、というところに研修の「ふりかえり」とのギャップを感じました…。先輩のKPTの方法を学びながら良いTryを出せるようになりたいと思っています。

「ふりかえり」のコツ

KPTは、それぞれの項目がポイントを抑えていないと意味がありません。

業務中に「あ!これProblemだな〜〜」だとか、「Keepになりそう」と感じていても、「ふりかえり」の時に記憶を辿って書こうとすると案外忘れていることが多いです。

そういう時は、日々、Keep、Problemを感じたときに記録するようにすると良いです。そうするとその時の臨場感が溢れるKeep、Problemが出せるようになると思います。

おわりに

配属されて4か月、現場で働いてエンジニアとしてエラーの原因を突き止めるにも、お客様との対話の中で要望を引き出すにも、問題を俯瞰して見る力本質を見抜く力が必要だと実感しています。 将来自分はどんな事がしたいのかを考えなおし、自分の目標を再認識するためにもこれからも振り返りを続けていきたいと思います!

ソリューション開発部で行う、若手教育に関しての他の方の記事もございますのでぜひご覧ください。

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