

z/Linuxに触れてみよう(後半)
こんにちは、システム基盤サービス部の田上です。
「z/Linuxに触れてみよう(前半)」では ホストOS環境構築と導入メディアの準備 ~ 仮想デバイスの作成 ~ Hercules導入開始まで を解説しました。後半では、SLES10の導入について説明します。
前回の記事はこちら。
z/Linux構築手順-SLES10の導入
SLES10の導入
z/Linux(SLES10)の導入は大きく3つのフェーズがあります。
- 導入媒体/接続方式の指定(Herculesをインタフェースとします)
- YaSTによる導入(いくつかの選択肢はありますが、VNCをインタフェースとします)
- YaSTによる導入-再起動後
1.導入媒体/接続方式の指定


導入媒体/接続方式の指定のステップでは、図のように対話式の質問に答えていきます。
Herculesから内部で起動しているゲストOSに対して入力するときは「 . 」を先頭に打ちます。導入媒体をFTPとし、接続方法をCTCとした場合の応答を以下に記述します。
Start Installation or System
Command ==> .1 ( Start Installation or Update )
Choose the source medium.
Command ==> .2 ( Network )
Choose the network protocol.
Command ==> .1 ( FTP )
Please select the type of your network device.
Command ==> .3 ( Channel To Channel (CTC) )
CTC driver initialized
Device address for read channel>
Command ==> .0.0.0f00 ( ハードウェア定義ファイル記載のCTCIデバイス )
Device address for write channel>
Command ==> .0.0.0f01 ( ハードウェア定義ファイル記載のCTCIデバイス )
Select protocol for this CTC device.
Command ==> .1 ( Compatibility mode (default) )
Automatic configuration via DHCP?
Command ==> .2 ( NO )
Enter your IP address>
Command ==> .aaa.bbb.ccc.100 ( ハードウェア定義ファイル記載のゲストOS用IPアドレス )
Enter the IP address of the PLIP partner aaa.bbb.ccc.100!>
Command ==> .aaa.bbb.ccc.2 ( ハードウェア定義ファイル記載のホストOS用IPアドレス )
Enter the IP address of your name server. If you do not use a name server,
press ESC aaa.bbb.ccc.100!>
Command ==> .aaa.bbb.ccc.1 ( ネームサーバー )
Enter the IP address of the FTP server aaa.bbb.ccc.2!>
Command ==> .aaa.bbb.ccc.2 ( FileZiller Serverを導入しているPCのIPアドレス )
Usually an FTP installation is performed via anonymous FTP. It is possible to
specify a user name and password for the FTP server access.
Use a user name and password?
Command ==> .1 ( YES )
Enter the user name with which to access the FTP server>
Command ==> .ark01 ( FileZiller Serverで設定したユーザー )
Enter the password for the FTP server>
Command ==> .__ ( FileZiller Serverで設定したパスワード )
Use a HTTP proxy?
Command ==> .2 ( No )
Enter the directory on the server>
Command ==> ./
Select the display type.
Command ==> .2 ( VNC )
Enter your VNC password>
Command ==> .slesins ( 任意です。この後接続する際に指定します )
ここまでの設定がうまくいくと以下の画面のようになり、次の処理へ進みます。


2.YaSTによる導入
Herculesの画面が以下のようになっていればYaSTの準備が完了しています。


Java Plug-inを導入してあるウェブブラウザで以下のURLを開きます。
http://aaa.bbb.ccc.100:5801/
上記の「aaa.bbb.ccc.100」は、『z/Linuxに触れてみよう(前半) 』 の 3.2. Hercules用ハードウェア定義ファイルの作成 で記載したゲストOSに割り振ったIPアドレスになります。


前項で設定したパスワードを入力しログインします。
ここから先はほぼ通常のLinux導入と同じです。
- Language
「日本語」を選択し「Next」をクリックします。 - License Agreement
「Yes, I Agree to the License Agreement」を選択し「Next」をクリックします。 - Disk Activation
DiskはSystem zのストレージであるdasdを使用するため、IAとは若干異なります。
「Configure DASD Disks」を選択します。 - DASD Disk Management
Channel:「0.0.1000」を選択した状態で「Select or Deselect」をクリックすると、Sel.:「Yes」に変わります。


この状態で「Perform Action」から「Activate」を選択するとDevice、Typeなどの情報が表示され、使える状態になるので「Next」を選択します。


“Disk Activation”の画面に戻るので「Next」を選択します。
- Installation Mode
「New Installation」を選択し「Next」を選択します。 - Clock and Time Zone
「Asia」「Tokyo」を選択し「Next」を選択します。 - Installation Settings
「Partitioning」を選択し、パーティション作成をします。Device:「/dev/dasda」を選択し、「dasdfmt」を選択します。確認用のポップアップが出力するので「Yes」を選択します。


パーティション作成が完了したらDevice:「/dev/dasda1」を選択した状態で「Create」を選択し、Expert Partitioner画面を開きます。
- Expert Partitioner
「Format」を選択、「File System」で「Ext3」を選択します。「Mount Point」に「 / 」を入力し、「OK」を選択すると、”Expert Partitioner”の画面で詳細情報が表示されます。「Finish」を選択し終了しようとするとSwap領域がない旨のメッセージが表示されます。Linuxに詳しい方は”Edit Partio /dev/dasda1”の画面で1GB程割り振っていただいても問題ありません。ここでは割愛しますので、「No」を選択してください。


“Installing Settings”画面に戻るので「Accept」を選択します。
- Confirm Installation
確認画面です。「Install」を選択し、処理が終了すると一旦システムが停止します。
3.YaSTによる導入-再起動後
HerculesからゲストOSを起動します。
Command ==> ipl 1000


YaSTの待機画面になったら再度ウェブブラウザから以下にアクセスし、YaSTへログインします。
http://aaa.bbb.ccc.100:5801/
上記の「aaa.bbb.ccc.100」は、 『z/Linuxに触れてみよう(前半) 』 の 3.2. Hercules用ハードウェア定義ファイルの作成 で記載したゲストOSに割り振ったIPアドレスになります。
- Hostname and Domain Name
Hostname、Domain Nameを入力し「Next」を選択します。(任意の名前で構いません) - システム管理者「root」パスワード
パスワードを入力し「Next」を選択します。 - ネットワーク設定
“ハードウェア検出の確認”画面で「続行」を選択し、表示された画面でファイアウォールを「使う」を選択し、使わないの状態にし「Next」を選択します。


- ネットワークへの接続のテスト
「テストをスキップする」を選択し、「Next」を選択します。 - インストールの設定
「Next」を選択します。 - ユーザー認証方式
「ローカル(/etc/passwd)」が選択されている状態で、「Next」を選択します。 - 新規のローカルユーザー
作成するユーザー情報を入力し、「Next」を選択します。 - リリースノート
「Next」を選択します。 - ハードウェア設定
「環境設定をスキップ」を選択し、「Next」を選択します。 - インストールが完了しました
「完了」を選択し導入を終了します。
しばらく待つと以下の画面が表示され、ゲストOSが起動します。


z/Linuxログイン確認
ログイン確認
ここまでの手順で、System z上でSLES10が稼動している状態となりました。
TeraTerm、Puttyなどのクライアントソフトを利用してSSHでゲストOSに割り振ったIPアドレスにアクセスしてみてください。
実際にログインしていただければ分かりますが、存在するコマンド、ディレクトリ構成など、デバイス構成を除けば、表面上はIA Linuxと変わりません。
こちらの記事で紹介した「独自コマンド」もIA Linux同様マニュアルが用意されておりますので、”man lsdasd”と実行すればマニュアルを確認することができます。ぜひ実行してみてください。
まとめ
駆け足でz/Linuxの導入方法を紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?IA Linuxの導入経験のある方なら、ほとんど差がないことが確認できたのではと思います。
次回の記事はこちら。