z/Linuxに触れてみよう(前半)

2012年1月23日Hercules, SLES, systemZ, z/Linux

こんにちは、システム基盤サービス部の田上です。

z/Linuxは90%以上が一般的なIA Linuxのソースをそのまま利用していると言われています。しかしながらこの解説だけでは、どこまでが同じで何が異なるのか、イメージすることが難しいと思います。そこで、z/Linuxに実際に触れてみることでz/LinuxとIA Linuxとを比べてみていただければと思います。

前回の記事はこちら。

z/Linux環境構築と必要ソフトウェア

今回はみなさんが自社で活用するイメージが持てるように、z/Linuxの稼動環境を一から構築することでその特徴をキャッチアップしていただくことを目的としています。

System zのハードウェア環境を準備せずにPC上でz/Linuxを稼動させることができるように、特別な検証環境を準備してセットアップする手順を解説します。

z/Linux構築環境

ホストOSとなるWindows上でHerculesというSystem zエミュレータを動かし、その上にゲストOSとしてz/Linux(以下、SLESと呼称)を導入します。

SLESの稼働環境
z/Linux構築環境

必要ソフトウェア

今回使用する環境の詳細を以下に記載します。ユーザーインタフェースや選択肢、設定方法などに違いはあるかもしれませんが、特に記載が無ければ別のバージョンを使用していただいてもかまいません。バージョンが異なる場合は適宜読み替えて参照ください。また、HerculesにつきましてはWindows上でなくても動作します。詳細につきましてはHerculesホームページにて確認してください。

OS

  • ホストOS:
    Windows XP SP3

エミュレータ

   Hercules 3.06-1
   URL:http://www.hercules-390.eu/
   [ hercules-3.07-w32.msi ]

ライブラリ系

  • Herculse用追加ライブラリ
    FishLib DLL 2.7.1
    [ FishLib-2.7.1.564-bin.zip ]
  • WinPcap用追加ライブラリ
    CTCI-W32 3.2.1
    [ CTCI-W32_3.2.1.160_bin.zip ]
    ※環境によっては接続できないという事例がよく発生するようすので、その場合はFAQを参照ください。

FTPサーバー

z/Linux構築手順-ホストOS環境構築と導入メディアの準備

いよいよ構築手順です。ここでは「ホストOS環境構築」と「導入メディアの準備」を説明します。

ホストOS環境構築

1.Herculesの導入

インストーラを実行しインストールしてください。インストール後「マイコンピュータ」を右クリックし「プロパティ」から「詳細設定」のタブを開きます。

「環境変数」から「システム環境変数」へと進み「Path」をダブルクリック。「変数値」にHercules導入先(通常はC:\Program Files\hercules\hercules-3.06\)を追加してください。

Herculesインストール時のシステム変数の編集

※既存の変数値に追加する値は ; で区切って設定してください。

2.WinPcapの導入

インストーラを実行しインストールしてください。

3.FishLib DLL/CTCI-W32の導入

解凍後binディレクトリ内のファイルをすべてHercules導入先へコピーしてください。

4.Java Plug-inの導入

SLES10インストール過程でVNCに接続する際に使用します。VNC Clientというソフトウェアを使用してもかまいません。

5.Microsoft Visual C++ 2005 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)の導入

インストーラを実行しインストールしてください。

6.Windowsファイアウォールの設定

WindowsファイアウォールをOFFにしてください。導入作業が終了した後に、元に戻して問題ありません。

導入メディアの準備

Hercules上で稼動するゲストOSが導入メディアから直接読み込むのは『最小限のシステムとして起動するためのファイル』のみです。その他のデータは、コードサーバーと呼ばれるサーバーからネットワーク経由でダウンロードします。

今回はコードサーバーもホストOS上に構築することとします。

Hercules上でゲストOSの導入メディアダウンロードする環境

1.DVDイメージの読み込み

ダウンロードしたSLES10のディスクイメージをDVDメディアに焼いてDVDドライブで読み込むか、仮想デバイスとしてマウントしてください。ここではDVDドライブを I:\ とします(仮想デバイスについての詳細は省略させていただきます)。

2.FileZilla Serverの導入

インストーラをダブルクリックし、すべてデフォルト設定のまま導入してください。インストールが完了すると右のような画面が表示されます。Always connect to this serverにチェックを入れて「OK」を選択してください。

【注意】PC内のファイルをネットワーク経由で抜き出せる状態になりますので、SUSE導入が完了した後は、アンインストールすることをお勧めします。

FileZilla Serverの導入

3. FTPサーバーの設定1(ユーザー追加)

以下のようなFileZilla Serverの操作画面が表示されるので、「Edit」→「Users」を選択してください。

FileZilla Server操作画面にて、EditタブからUsersを選択

表示された【Users】の画面で右端の「Add」を選択し、【Add user account】画面で、上段の枠に適当なユーザー名を入力し、「OK」をクリックしてください。

ユーザー追加が完了したら、「Password」にチェックを入れ、パスワードを入力してください。最終的に、下のような画面になっていれば問題ありません。

FileZilla Server Users画面にてユーザー追加

4.FTPサーバーの設定2(共有フォルダの追加)

上述の【Users】画面。左側の「Page:」内、「Shared folders」を選択し、右側に表示された「Shared folders」内の「Add」を選択してください。【フォルダの参照】画面が表示されますので、導入DVDを読み込んだドライブ(ここでは I:\)を選択し「OK」を選択すると右のような画面になります。

「OK」を選択し、設定を終了します。FileZilla Serverのメイン画面上にエラーメッセージが出力されていないか確認してください。

FileZilla Server Users画面のShared foldersを導入DVDドライブに設定

5.接続テスト

コマンドプロンプトを起動し、以下の1、6、8、10、16行目を入力してください。

 C:\Documents and Settings\test>ftp localhost
 Connected to test-pc.
 220-FileZilla Server version 0.9.34 beta
 220-written by Tim Kosse (Tim.Kosse@gmx.de)
 220 Please visit http://sourceforge.net/projects/filezilla/
 User (home-pc:(none)): ark01     <- 作成したユーザー
 331 Password required for ark01
 Password:*****                       <- 登録したパスワード(表示されません)
 230 Logged on
 ftp> dir                             <- 内容を表示
 200 Port command successful
 150 Opening data channel for directory list.
 -r--r--r-- 1 ftp ftp      5087457 Jul 06  2006 ARCHIVES.gz    <- DVD内のファイル名
 -r--r--r-- 1 ftp ftp        17992 Jul 06  2006 COPYING        <- DVD内のファイル名
 ... 省略 ...
 ftp> quit

上記のようにDVD内のファイル名がリストアップされれば問題ありません。

z/Linux構築手順-仮想デバイスの作成からHercules導入開始まで

このページでは構築手順のうち「仮想デバイスの作成」、「Hercules用ハードウェア定義ファイルの作成」、「Herculesの起動~導入開始」を説明します。

仮想デバイスの作成

ゲストOSがディスクとして使用するためのファイルを作成します。

コマンドプロンプトを起動し、作成先のディレクトリへ移動。以下のコマンドを実行します。

 C:\Documents and Settings\user>G:
 G:\>cd hercules
 G:\hercules>dasdinit -lfs 1000.3390-9 3390-9 SLES01 

作成先のディレクトリには9GB程度の空き容量が必要になります。
上記の例では G:\hercules という場所に仮想ディスクを作成しています。
導入される環境に合わせて変更してください。

Hercules用ハードウェア定義ファイルの作成

上記と同一のディレクトリに sles10.conf という名前のファイルを作成してください。

ファイルには以下の内容を記載してください。18,21行目をホストOSの環境に合わせて変更してください。

 #
 # Hercules Emulator Control file...
 # Description:
 # MaxShutdownSecs: 15
 #
 #
 # System parameters
 #
 ARCHMODE  z/Arch
 CNSLPORT  3270
 CONKPALV  (3,1,10)
 CODEPAGE  default
 CPUMODEL  2097
 CPUSERIAL 002623
 CPUVERID  00
 ECPSVM    NO
 LPARNAME  SLES
 MAINSIZE  1024                 <- ゲストOSに与えるメモリサイズ
 #                                 ホストOSのメモリが使用されます。
 MOUNTED_TAPE_REINIT  DISALLOW
 NUMCPU    2                    <- ゲストOSに与えるCPU数
 OSTAILOR  LINUX
 PANRATE   50
 PGMPRDOS  RESTRICTED
 SHCMDOPT  NODIAG8
 SYSEPOCH  1900
 TIMERINT  50
 TZOFFSET  +0900
 YROFFSET  0
 HERCPRIO  0
 TODPRIO   -20
 DEVPRIO   8
 CPUPRIO   15
 # DASD Devices
 1000    3390    1000.3390-9
 #1001    3390    1001.3390-9
 #1002    3390    1002.3390-9
 #
 ## CTC Adapters
 #
 0F00-0F01    CTCI    aaa.bbb.ccc.100(※1) aaa.bbb.ccc.2(※2)
 #
 #      ※1 ゲストOSに割り振るIPアドレス
 #      ※2 ホストOSのIPアドレス(実際に使用しているIPアドレスにしてください) 

Herculesの起動~導入開始

Herculesのインストールによって作成される「Hercules Command Prompt」を実行するとコマンドプロンプトが実行されます。

先ほど仮想デバイスを作成したディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行するとHerculesが起動します。

 G:\hercules>hercules –f sles10.conf
Hercules起動画面

上がHercules起動時の画面です。
この状態で以下のコマンドを実行するとインストールが開始します。
i:¥はDVDを読み込んでいるドライブ名に変更してください。

 ipl i:¥suse.ins

まとめ

今回は「z/Linuxに触れてみよう(前半)」として、まずはWindows上にz/Linuxの稼働環境を準備する手順を紹介させていただきました。

次回は、本題となるz/Linuxの導入手順を紹介いたします。

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