Zabbixで始めるシステム監視。「アプライアンス」で手軽に構築。

2025年10月15日Zabbix,Zabbix Enterprise Appliance

こんにちは。プラットフォーム技術部の飯出(いいで)です。

システム監視運用の世界に身を置く皆さん、システム監視ツールは何を使っていますか?また、これから監視を始めようと考えている皆さん、「Zabbix(ザビックス)」という名前を耳にしたことはありますか?

Zabbixは、世界中で幅広く使われているオープンソースの統合監視ツールです。その最大の魅力は、「あらゆるものを自由に、思い通りに」監視できる柔軟性にあります。しかし「自由」であるが故に「どうやって始めたらいいの?」「設定が複雑そう…」と感じる方も少なくありません。

そこで今回は、その導入ハードルを大きく下げるソリューション「Zabbix Enterprise Appliance」について、初心者の方にもわかり易く解説していきます。システム監視の世界へ一歩を踏み出したい方、Zabbixをさらに活用したい方は、ぜひ最後までお読みください。

Zabbix Enterprise Appliance とは?

Zabbix Enterprise Appliance とは「Zabbixの全機能を1台のハードウェアに搭載」した、オールインワンのシステム監視ソリューションです。

サーバーの購入・検証・セットアップやZabbixのインストールと初期設定・データベースのチューニング・監視処理を適切におこなうための周辺ソフトウェアの設定といった煩雑な作業を実施することなく、システム監視・障害通知・グラフ表示などZabbixの全機能を活用したシステム監視運用をかんたんに始めることができる、1Uサイズ筐体のハードウェア・アプライアンスです。

  • Zabbixの全機能を1台のハードウェアに搭載。
  • OS、ミドルウェア、関連ツールの基本設定は完了済み。設置したら、すぐにZabbixを利用できます。
  • Linuxを知らなくても、Web画面で操作できます。
  • 本体価格はとても安価。パッケージ版の構築と比較すると半分程度のコスト。
  • ハードウェア含め、5年間の保守サポートを提供。
  • Zabbixのメジャーバージョンアップもファームウェアで対応可。

Zabbix Enterprise Appliance の選び方

Zabbix Enterprise Appliance ですが、大きく分けて3つの種類があります。

  • Zabbix server版ハードウェア・アプライアンス(ZSシリーズ)
  • Zabbix proxy版ハードウェア・アプライアンス(ZPシリーズ)
  • 仮想アプライアンス(ZS-Vシリーズ、ZP-Vシリーズ)

Zabbix server版ハードウェア・アプライアンス

Zabbix server のハードウェア・アプライアンスです。この記事では、Zabbix server版のハードウェア・アプライアンスについて説明します。

Zabbix proxy版ハードウェア・アプライアンス

Zabbix proxy にもハードウェア・アプライアンスが存在します。詳しくは以下の記事をご覧ください。

仮想アプライアンス

VMware バージョン 5.5以上にて仮想環境を構築している場合、Zabbixの仮想アプライアンスを適用できます。製品のソフトウェア仕様は、前述したZabbix server版ハードウェア・アプライアンス、Zabbix proxy版ハードウェア・アプライアンスと同様です。

Zabbix Enterprise サポート & サブスクリプションに加入することで、ダウンロード・利用いただけます。

型番の見方

Zabbix Enterprise Appliance ZS-7700 Model Number
  • 機能識別子
    • ZSの場合:Zabbix serverであることを示します。
    • ZPの場合:Zabbix proxyであることを示します。
  • 機種識別子
    • 機能識別子がZS(Zabbix server)の場合
      • 5:監視収容数200台までのハードウェアであることを示します。
      • 7:監視収容数1,000台までのハードウェアであることを示します。
      • V:仮想アプライアンスであることを示します。
    • 機能識別子がZP(Zabbix proxy)の場合
      • 1:監視収容数200台までのハードウェアであることを示します。(現状、1固定です。)
      • V:仮想アプライアンスであることを示します。
  • バージョン識別子
    • Zabbixのメジャーバージョンを示します。
  • その他
    • 基本的には「00」が付与されます。
    • 新旧バージョンにおいてハードウェア互換性が損なわれた場合などにおいて、「50」が付与されます。

Zabbix server版アプライアンスの諸元と特徴

ここからは、Zabbix server版ハードウェア・アプライアンスの仕様について、解説します。Zabbix server版のハードウェア・アプライアンスは、1Uラックサイズの筐体です。監視収容数の違いによって、2種類のラインナップがあります。

2025年時点における最新バージョンである、Zabbix 7.0搭載モデルをベースに説明します。なお、Zabbixの最新バージョンに対応した新機種は、今までの傾向からパッケージ版のリリースから半年~1年以内には販売される見込みです。

諸元

監視収容台数200台のZS-5700と、監視収容台数1,000台のZS-7700があります。監視収容数の違いによって、ハードウェア・アプライアンスが搭載している物理メモリとストレージ(SSD)のサイズが異なる形です。

 ZS-5700ZS-7700
ZabbixバージョンZabbix 7.0.x LTS
構築基盤1Uラック向け筐体(オンプレミス用)
CPUクアッドコアAtomプロセッサ
搭載メモリ16GB32GB
ネットワーク1000BASE-T x 4
ストレージサイズ500GB(拡張不可)
※RAID1構成
2TB(拡張不可)
※RAID1構成
監視収容数(概ね)200台
(2万監視項目/5分間隔)
1,000台
(10万監視項目/5分間隔)
本体標準価格(税抜)298,000円498,000円

本体標準価格にぜひご注目ください。物理サーバーの購入から、OS、ミドルウェア、そしてZabbixのインストールにかかるコストと比較していただければ、その圧倒的なメリットをご理解いただけるはずです。

パッケージ版とハードウェア・アプライアンス版の違い

パッケージ版(サーバー購入・OS/Zabbix/各種ミドルウェア導入が必要)とハードウェア・アプライアンス版の違いについてまとめてみました。

 パッケージ版ハードウェア・アプライアンス版
ZabbixバージョンZabbix 7.0.x LTS
構築基盤物理サーバー
仮想マシン基盤
クラウド基盤
1Uラック向け筐体
オペレーティングシステムRed Hat Enterprise Linux 9.x
Alma Linux 9.x
Rocky Linux 9.x
※別途構築する必要あり
Ubuntu 22.04 based
Zabbix Japan カスタマイズ
※同梱、ファームウェア提供
データベースエンジンPostgreSQL 13 以上
MySQL 8.0.30 以上
MariaDB 10.5 以上
MySQL 8.0.39
※同梱、ファームウェア提供
データベースパーティショニング別途構築する必要あり設定済み
ストレージサイズ拡張可能固定(500GB or 2TB)
監視データの保存期間変更・拡張可能固定(ヒストリ90日、トレンド1年)
監視収容数(概ね)拡張可能200台 or 1,000台
追加ソフトウェアのインストール可能不可能

基本的にはZabbixの全機能が使用できます。違いはハードウェア・アプライアンスの場合、監視データの保存期間が固定されている点です。こちらは、ハードウェア・アプライアンスが搭載するストレージの容量に依存する形で、固定となっています。

また、各社のアプライアンス製品と同じく、追加ソフトウェアのインストールはできません。「ウイルス対策ソフトウェアのインストールはできますか?」とお問い合わせをいただくことが多いのですが、できませんのでご留意ください。

Linuxを直接操作せずに、システム設定ができる

冒頭で「Linuxを知らなくてもWeb画面で操作できます。」と記載しましたが、特徴としてパッケージ版ではLinuxを操作しなければならないポイントを、以下の画像のようなWeb画面(システム管理インターフェース)で操作できるようにしています。

ZS-7700 システム管理インターフェース
  • システム情報/ステータスの確認
  • ホスト名やIPアドレスなどのネットワーク設定
  • 契約情報の登録
  • システム管理パスワードの変更
  • ファームウェアの更新

ができますので、非常にかんたんに運用できます。

Zabbixアプライアンスの魅力

特筆すべき点は、コストパフォーマンスの良さです。特に、Pingによる死活監視のみ、ネットワーク機器のSNMPエージェントに対するポーリング監視のみである場合において、コストパフォーマンスの良さが際立ちます。

また、ハードウェア・OS・Zabbixの一括提供が可能なため、お問い合わせ窓口がひとつに統一されるというメリットもあります。ファームウェアの更新もかんたん操作でできますので、セキュリティ脆弱性が発見された際など、パッチを当てる場合でも迅速に対応できると思います。

以下に、アプライアンスのメリットとデメリットをまとめてみました。

メリット

  • ネットワーク機器の死活監視など数100台を監視します。等、ポーリング中心の監視におけるコストパフォーマンスが良い。
    • 無線LANアクセスポイントの死活監視(Ping)
    • インテリジェントスイッチのポート死活監視(SNMP・標準MIBの範囲内での実施)
  • 遠隔地の分散監視を手軽に始めたい。(サーバー & プロキシアプライアンスで安価に構成できる。)
  • ハードウェア・OS・Zabbixのお問い合わせ窓口がひとつになる。
  • 監視サーバー構築・運用時の手間を削減できる。
    • 物理サーバー購入、OS・ミドルウェア、Zabbixをインストールする手間がない。
    • OSやデータベースは出荷時にチューニング済み。
    • ファームウェア更新でOS・ミドルウェア、Zabbixを一括でアップデートできる。

デメリット

機能として不可・出来ないという話ではありませんが、ハードウェア・アプライアンスが苦手とする内容を紹介します。パッケージ版を採用するか、ハードウェア・アプライアンス版を採用するかの判断基準にもなります。

  • ログ(テキスト、Windowsイベントログ)監視、SNMPトラップの受信など、データ量が読めないものはストレージを圧迫しやすい。これらの内容を大量に監視する必要がある場合は、ストレージ容量が調整できるパッケージ版が有利。
  • 長期間(1年以上)の監視データを原則、保存できません。Zabbixの画面から保存期間が変更できません。
  • 運用スクリプトや、特殊な監視用のスクリプト実行の負荷増大に対応できません。
    • 監視収容数の見込みは概ね正しく、ZS-7700の監視設定数を1,000台近くにした場合におけるCPUロードアベレージの状況は、限界値付近まで上がります。
    • 運用スクリプトだけでなく、Zabbixの画面を大量に開く場合、ダッシュボードウィジェットを多用する場合も負荷が上がりやすい傾向です。
  • ウイルス対策ソフトウェアや他社製ドライバはインストールできません。なお、独自の通知スクリプトや監視スクリプトのインストールは可能。(SSHやコンソール接続を利用して、Linux OSにログインして配置してください。)

Zabbixアプライアンスの保証

パッケージ版の保守サポート契約と同じく、Zabbix Enterprise サポート&サブスクリプションが準備されています。なお、アプライアンス版にはパッケージ版の保守サポート契約に加えて、センドバック(ハードウェアの不具合/交換対応)とファームウェアの更新権が付与されます。

サポートレベルに応じた4つのグレード

簡単にですが、保守サポート契約における4つのグレードを説明します。

  • ベーシック
    • お問い合わせ可能インシデント無し。Zabbixを熟知していてサポートは不要という方向け。
  • シルバー
    • お問い合わせ可能インシデント数は8本。お問い合わせ可能時間帯は平日営業時間内。
  • ゴールド
    • お問い合わせ可能インシデント数は無制限。お問い合わせ可能時間帯は平日営業時間内。
    • 日本市場ではこの契約が多い。
  • プラチナ
    • お問い合わせ可能インシデント数は無制限。お問い合わせ可能時間時間帯は24時間365日。
    • ただし、平日営業時間外は英語によるサポートになります。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

おすすめのグレードは、ゴールドサポート

当社ではゴールドサポート契約をおすすめしています。お問い合わせ可能インシデント数が無制限である点に加え、Zabbix Japanが開催するWebセミナー形式の「ショートトレーニング」に参加できます。

Zabbix Japanのサポートチームが1時間程度でZabbixのさまざまな技術トピックについて解説しますので、ちょっとしたスキルアップに最適です。監視チームに新しい人が配属されたなど、これからZabbixを使っていくというシーンなどでも活用できると思います。

ご契約における注意点

よくお問い合わせをいただく内容です。このような点に注意いただく形となります。

  • アプライアンスの購入初年度は保守サポート契約が必須です。
    • ハードウェア保証が保守サポート契約に含まれる形になっています。
    • 着荷日から標準で5年間が保守サポート期間です。ハードウェアの耐用年数は一般的なハードウェア同様に5年です。
    • 5年以上の保守サポート契約を必要とされる場合は、初年度から6年以上の一括契約をいただくことで対応しています。
  • 2年目以降における保守サポート契約の解約をご検討される場合は、以下の点にご注意ください。
    • 解約は可能ですが、センドバック(ハードウェアの不具合/交換対応)ができません。
    • 各種ツールやファームウェアのダウンロードができません。各種ツールの使用権利も失います。
    • 保守サポートの再契約は可能ですが、未契約期間に関してはさかのぼって請求いたします。

出荷時に監視設定も一緒に入れて欲しい

Zabbixのアプライアンスですが、出荷直後にはまだ監視設定が入っていません。実際にシステム監視を始めるためには、アプライアンスの設置後に監視設定を追加していく必要があります。

「出荷時に監視設定も一緒に入れてくれないのか?」とよくご要望をいただきますので、当社では出荷時に監視設定済みの状態で出荷するサービスを展開しています。

アプライアンス構築ソリューション

アプライアンスの販売と監視設定の追加、保守サポートサービス(入門トレーニング付き)をオールインワンで販売しています。こちらの製品で、ワンストップの対応を可能としています。

はじめてシステム監視を導入される方向けにシンプルな監視項目を準備しています。また、ネットワーク機器の監視のみで十分といったニーズにも最適な構成となっています。

その他、設置後すぐに監視を始めたい方、アプライアンスの初期設定が面倒だと思う方。ぜひ、こちらのサービスをご検討ください。詳細は、以下のページをご覧ください。

アプライアンス構築ソリューションが提供する監視項目

アプライアンス構築ソリューションは、標準テンプレートとして以下の監視項目をサポートしています。ムリ・ムダ・ムラをそぎ落とした非常にシンプルな監視項目とすることで、初期費用を抑えたい・段階的に拡張したいなどのニーズに対応します。

監視区分監視項目監視設定しきい値設定グラフ設定
死活監視ICMP Ping 
Zabbixエージェント 
リソース監視CPUロードアベレージ/使用率
メモリ使用率
ネットワークトラフィック 
ネットワーク機器監視ポーリングアップ/ダウン 
ネットワークトラフィック 

さらなるご要望にもお応えします

「アプライアンス構築ソリューションが提供する監視項目では不足している。」 という方向けに、サービスのアップグレードや追加オプションを組み合わせた形でのご提供もできます。

ログ監視、Windowsイベントログ監視、Windowsサービス監視も実現したい

Zabbixでログ監視、WindowsイベントログやWindowsサービスも監視したいというご要望に、アプライアンス構築ソリューションの監視項目を、「まるごとおまかせZabbix 環境構築サービス」にアップグレードする形でお応えします。

監視区分監視項目監視設定しきい値設定グラフ設定
死活監視ICMP Ping 
Zabbixエージェント 
プロセス 
Windowsサービス 
リソース監視CPUロードアベレージ/使用率
メモリ使用率
ストレージ容量
ネットワークトラフィック 
文字列監視テキストログ 
Windowsイベントログ 
ネットワーク機器監視ポーリングアップ/ダウン 
ネットワークトラフィック 
SNMPトラップ 
Web監視HTTP/HTTPS 

ここまで実装すれば、システム監視のスタートアップとしては十分な状態になりますので、ひとつの基準として考えていただき、監視項目の更なる拡張が必要かどうかを判断いただければという考えで、サービスをご提供しています。(まるごとおまかせZabbix 環境構築サービスは、パッケージ版Zabbixにも適用できます。)

もっと監視環境を拡張したい(追加オプション)

ここまでご説明した内容で基本的なシステム監視環境が整いますが、もっと監視環境を拡張したいというご要望にお応えするために、追加オプションとして以下のような構築・実装も承ります。

  • Zabbix agentのインストールも一緒に対応してほしい。
  • ネットワーク機器のファンや温度センサーの状態を監視したい。
  • 発生した障害を別途インシデント管理ツール(RedmineやJIRA、ServiceNowなど)に保存したい。
  • Slackなどのチャットツールに通知したい。
  • 他のシステムが持つWeb APIを呼び出して連携したい。
  • ジョブ管理ツールも一緒に導入したい。

このような内容につきましても、ぜひご相談ください。最適な実現方法をご提案いたします。

おわりに

パッケージ版でもコストパフォーマンスを発揮するZabbixですが、アプライアンス版の導入によって更にコストパフォーマンスを発揮します。以下のようなお悩みを持っている場合、アプライアンス版も検討してみてはいかがでしょうか。

  • システム監視を始めたいが何から手をつけたら良いかわからない。
  • 既にZabbixを使用しているが、環境の維持に苦労している。担当者が離任してよくわからなくなっている。
  • 現在使用しているZabbixのバージョンが古く、最新バージョンに乗り換えたい。
  • インフラ監視が主な用途となるため、商用ツールを用いた高度なシステム監視は不要。

Zabbixのアプライアンスに興味を持たれた場合は、ぜひ以下の青いボタン「Zabbixのプロフェッショナルに相談」からお問い合わせください。当社のメンバーが、Zabbixのアプライアンスについて詳しくご説明します。

また、Interop Tokyo や Zabbix Conference Japan などのイベント会場で実機の展示もしていますので、来場される場合はアークシステムのブースまでお越しください。実機に触れながら、詳しくご説明します。

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