続・リモートワークどうでしょう?―第3話 1on1編(リモートワークからはちょいと脱線)

コミュニケーション,リモートワーク,働き方改革

前回までのあらすじ

リモートワークで新人をフォローするにはどうすればいいのか?
本間さんチームの皆さん(本間さん、柴崎さん、長澤さん)に相談しながら佐々木は何となく気が付いていた。そもそも新人をプロジェクトで受け入れる経験自体が初めてだということに。
それなら一度「リモートワークで」という部分は置いておいて、新人フォローについて他チームでの取り組みを話し合ってみようと思ったのだった。

登場人物紹介

佐々木:気が付けば11年目。リモートワークでの仕事の進め方に悩めるお年頃。輸出管理システムの保守担当チームに所属。

本間:気が付けば17年目。プログラムを書く時間の確保が難しくなってきて焦っているお年頃。パッケージ製品開発のお客様を支援するチームに所属。

柴崎:気が付けば12年目。最近、どうやって働きたいのか分からなくなってきたお年頃。本間さんと同じチームに所属。

長澤:気が付けば3年目。リモートワーク経験の方が長くなって、もう出社していた頃には戻りたくないお年頃。本間さん、柴崎さんと同じチームに所属。

まだまだみんなで話してみよう

1on1を有意義にしたい!

佐々木
さっきちらっと1on1の話が出てたと思いますが、本間さんチームでも1on1をやっているんですね。
うちのチームでも新人さんが来てから1on1をやるようになったんですが、なんとなーく雑談して終わってしまっていて、何を目的にどんな話をしていいかよくわからないんです。せっかくなら有意義な時間にしたくて。

長澤
目的の前に、まず前提として我々のチームでおこなっている1on1について整理しますね。

  • 週1回実施している
  • 当初は本間柴崎本間長澤で実施していた
  • 最近は柴崎長澤でも実施している

基本的には本間さんは聞き役で、私は相談者です。なので、話題は私から提示します。1週間での出来事から、話したいことを事前に考えておきます。

本間
そうですね、今まで話したいことが無いという事はレアでした。

佐々木
前提条件からして私のチームとはだいぶ違いますね。
私のいるチームは新人さんが1名と先輩社員が私を含めて4名おりまして、週に1回新人さんと先輩社員の誰か1名が持ち回りで1on1をやっています。
話す内容は先輩社員側におまかせしてますけれども、先ほどチラッと言ったようにほぼ雑談ですねぇ…。

本間
1on1をやっている目的はいろいろあります、ざっくり挙げると2つです。

  • その人が活躍できるようにする
  • チームが良くなるようにする

じゃあどんなこと話しているのかというと…?

柴﨑
問題意識を掘り下げて改善する行動を考える話が多いですかね。とはいえ、愚痴だけ言っている時もありますけど。

長澤
普段の仕事での振る舞いの話をすることが多いですね。
例えば「文章で情報共有をしたが、相手にうまく伝わらなかった」ということがあったら、「どのように書いていたら1回で伝わったかな?」とか、「どうなってたら受け取る側は読みやすいかな?」といったようなことを相談します。

佐々木
ほうほう。

長澤
何かミスをしてしまったことがあったら、再発防止のためにどんな行動が取れるか考えたりもします。
ふりかえりがチームの改善活動だとしたら、1on1は個人の改善のためのヒントを得る場、というイメージでしょうか。
あとは、一緒にデバッグしてもらったり、それこそ前回の記事で話したペアプロみたいなことをやったこともあります。ただ、技術的な面については1on1じゃない時にもたくさん会話しているので、頻度としては少ないです。

ふりかえりと1on1
ふりかえりと1on1

本間
そうですね、私たちの1on1では技術的な相談はどちらかと言うとレアで、人の振る舞い的な会話が多いです。
長澤さんは、個人作業改善の話もありましたけれど、チームに対する話もしていたと思うのですけれど、覚えています?

長澤
確かに、個人の話だけではなかったです。自分だけでなく、チームがこう変わったら良いなぁとなんとなく思っていることを話して、どんなアプローチが出来るかを一緒に考えてもらうこともありますね。そこで得たネタを、チームふりかえりの場でそれとなく出したりします。笑

本間
個人作業とチームふりかえりの間に1on1が位置づいているように感じています。いきなり皆へは言い出しづらいと思っていることを、どう出していこうか作戦を一緒に考えたりしてますね。

柴崎
一緒に考えるような話だと……

ある日の1on1での会話
ある日の1on1での会話

のような、今チーム全体には伝えづらい・伝えるべきではないけれど、チームを良くするために考えている問題意識の整理の場として使うことがありますね。こういう会話からチームふりかえりのネタになったりします。

佐々木
私のチームでは新人教育の一環として1on1をやっているんですけれど、本間さんチームではチームビルディングとしての1on1の側面が強いんですね。でも、新人教育も広い意味ではチームビルディングと言えるのか。

本間
ええ、言えると思いますよー。
雑談って言っていたけれど、新人さんと佐々木さんで優先度の考え方とかを会話していると思うのですよね。そういった互いの考え方が分かってくると、チームとして動きやすくなるんじゃないでしょうか。

話すことがなかったらどうしよう

佐々木
最初の方で1on1で話す内容は相談者側から持ってくる(本間さん↔長澤さんの場合は長澤さんから)という話がありましたが、「話したいことは特にないですー」という場合はどうしたらいいんでしょう。
1on1の中で話すことがなくなったときは「なにか困っていることある?」と聞いてみるんですけど、特になさそうなんですよね。

本間
「困っていることある?」という聞き方はちょっとアレで、「困っているライン」は人によって異なっているのですよね。客観的に困り気味でも当人的には平気と思っているから「困っていません」という。

佐々木
「アレ」とは?

本間
「アレ」って言っちゃったのは、1on1で話したいようなテーマを引っ張り出すにはあまり適切でないと思っているからです。例えば「家のお湯の出が悪くてー」と言われても…。

佐々木
たしかに。「給湯器交換しなよ」で終わっちゃいますねえ。

「困っていることある?」では業務と関係ない話になってしまうかも
「困っていることある?」では業務と関係ない話になってしまうかも

本間
そこでアプローチを変えて、例えば「今やっていることって、自己採点で100点満点中何点?」と聞いて仮に70と答えたら、70の内訳を聞いて、次に30の内訳を聞く。そうすることで、会話するネタが生まれます。

柴﨑
話したいことがないって言うけれど、違和感や不満がないなんてことはないと思う。
困っていること・聞きたいことっていっぱいありません?話したいことが整理できていないだけだったり、言いづらかったりする何かがあることが原因なんじゃないかな。
もし本当に話したいことがないなら危険な兆候だと思ってて、頭を働かせられないほど忙しかったりするなら1on1の前に解決したい。
こういった問題は朝会・夕会、ふりかえりなど全員いる場で会話できたほうが良いんじゃないかな。

佐々木
本当に話したいことがない、とは思いたくないですね…。

長澤
「話したいこと」と言われると、最初は何を話していいのか分からず、ハードルが高いのかもしれないですね。私は1on1の前に、「今週何をしたっけ?」「何か上手くいかなかったことは?」といったようなことを考えてます。

本間
話したいことに気づいていないのだと思うのですよね、話すことがない場面はあまりありませんでしたが、そういうときは気づいてもらえるよう角度を変えてツツイてみます
例えばさっき言ったように点数を聞いてみるとか、私が手元に用意している「話すことリスト」から話題を出したりしています。

話すことリストはこんな場面で収集しています。

  • 作業中の会話
  • デイリースクラムでのやり取り
  • ふりかえりでの振る舞い
  • 勤怠が崩れているか
  • 残業しているか
  • Slackでの内容(多い・少ない・饒舌・寡黙・伝わりやすいか・結論から書いているか)
  • Jiraやプルリクエストでの記載内容(必要十分であるか、肝心なことが書いてあるか、レビュー漏れしていないか)
  • 自分たちで取り決めたことを実施できているか

佐々木
整理できてないだけで本人の中にあるモヤモヤっとしたものはあるはずですよね。それを上手く整理するお手伝いができるよう質問の仕方を工夫したり、何でも言えるような環境づくりをしていければ、もっと1on1でいろんな話ができそうです。

モヤモヤのはなし

柴﨑
モヤモヤって、言葉にできないという悩みだけじゃないじゃないですかー。
40歳になって不惑?いやいや、一生モヤモヤを抱えているものだと思う、人間って。
でも特に若い人はモヤモヤしがちだと思うので、整理するのを手伝ってあげたい。

佐々木
私も新人の頃はモヤモヤしてましたね。「無力な私」というモヤモヤ。1年目が終わって2年目になるころなんて、「まだまだ新人でいさせてくれー」って思ってましたし、同期ともそんな話してました。
テスト仕様書書いてと言われてもテストケースってどうやって出すのかわからず、実装も1人ではできず…。チームの戦力になれるまで「新人」でいたかったです。

2年目以降は同期に置いてけぼりにされているようなモヤモヤも…
2年目以降は同期に置いてけぼりにされているようなモヤモヤも…

本間
何がそのモヤモヤを解消したの?

佐々木
何かをきっかけにしてある日突然解消されたというわけではなく、作業を繰り返して分かるようになって自信をつけた感じです。これやってくださいと言われた時に、ざっくりとこうやったらできるだろうと想像できるようになった頃には解消されてたかなあ。

長澤
私もやっぱりそういうモヤモヤはあって、1on1で話すことがあります。
今のチームで一番年齢が近い先輩が柴﨑さんなのですが、経験年数がかなり離れています。先輩とのギャップが大きすぎて、それを気にし出すと無力感に繋がってくるんですよね。
その解消方法として、小さい目標を立てるということを1on1では結構していました。柴﨑さんのやっていることを洗い出して、これは自分にもできるかもということがあれば、それを次の週に頑張ってみる。そして次の1on1 でその目標に対してどう行動ができたか自己評価をして、また新しい目標を立てる。
今はこれを繰り返してモヤモヤを少しずつ解消している真っ只中ですね。

佐々木
いいですね!そういうモヤモヤをすっきりさせる場としても1on1を活用したいです。

柴﨑
コロナ禍以前は、残業してたら「どうしたの〜」とか、給湯室でばったり会ったら「最近どう〜?」とか会話していたと思うんです。こういった話がしづらくなってしまったので、ちゃんと時間枠をとって会話する機会を増やすってことが大切だと思います。そういった施策のひとつとして1on1を使っていきたいですね。

俺たちの戦いはこれからだ!次回へつづく!
(そろそろ終わりに向かうのか…?)

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